キエフの街中には無数のコワーキングスペース、電源Wifi完備のカフェが存在し、これらの場所を訪れるとラップトップコンピューターを広げたプログラマーやIT関係者らしき人々の姿をそこら中に目にすることができます。
意外に思われるかもしれませんがウクライナのWifi事情は日本以上で、Wifiがないカフェ、レストラン、店舗、オフィスなどは皆無と言っても過言ではないと思います。少なくともキエフ在住の筆者の経験上はお目にかかったことはありません。逆に日本にいたときはちょっと洒落たカフェに行ってもWifiの有無を聞くと「すみません~。うちWifi置いてないんです。」みたいなことを言われ唖然としたことが何回もありました。日本では電源のあるカフェなどはめったにありません。長居をされると店側も困るのでしょうがクラウド化の進んだ現代においてWifiの整備は国を挙げて行うべきではないでしょうか?
携帯電話のデータ通信料もウクライナは激安です。100 フリブニャ (2019年4月現在のレートで420円ほど)ほど払えば1か月ネット使い放題、余裕で暮らせます。日本で1万円近く払っていた自分は移住当初携帯料金のあまりの安さに驚きました。こちらはデータ通信つきのプリペイドSimを購入し、街の至る所にあるターミナル(また次回詳述します)と呼ばれるチャージマシンで必要な時に支払うのが主流です。
さてウクライナで一番稼げる職業は何だと思いますか?公務員?弁護士?医者?いえいえ違います。それはなんとフリーランスのITプログラマーなんです。
ウクライナのIT業界は非常に特殊でIT企業に勤めているエンジニアは社員として雇われているのですが、なんと全て個人事業主扱いになっているのです。これにはウクライナの特殊な税制が関係しています。ウクライナは従業員でも会社と個人事業主として契約しており、法律で決められた最低賃金の部分以外の賃金を営業利益として受け取っています。それにかかる税金はなんと5%なんです。ここになぜウクライナがIT大国として近年急成長してきたかの理由が隠されています。西欧や北米のどの国よりも税率が低いので実質ウクライナはIT技術者にとってのタックスヘイブンであるのです。彼らにしたら自分の国だし物価も低い、普通の職業の方々より数十倍稼げるなどのメリットを享受でき、多少賃金が上がってもそのメリットを相殺するほどではない他の国へわざわざ移民することを選ばないという意味でこの税制はウクライナからの頭脳流出を防いでいると言われています。
こういった理由でウクライナはフリーランサー、特に外国の顧客を相手にするIT技術者の天国となっているのです。
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